電子商取引における消費者保護ルールの新展開 (電子商取引における消費者保護に関するOECD理事会勧告2016 / 大韓民国電子商取引消費者保護法2016年改正法 / 中華人民共和国電子商取引法草案2016)

公開日:2017.12.21

発行日
2016年12月30日
概要
 電子商取引が成長期を迎えて,通信販売の延長であった時代から,電子商取引固有の機能を発揮するビジネスモデルの開発と多様化により,さらなる普及と進展の時期を迎えている。電子商取引の法制度整備に伴う消費者保護ルールのあり方は,電子商取引の生成期から大きな課題であったが,今日,国際的にも,国内的にも新たな展開をみせているといってよい。そこで,本稿では,当研究会における共同研究の成果報告の一環として,電子商取引における消費者保護ルールの新展開の国際的状況を把握する上で,重要かつ最新の手掛かりとなる立法資料等を翻訳・紹介する。
 まず,国際的法制度整備の先導役を果たしてきた1999年のOECD理事会勧告が2016年に改訂されたことを紹介する。すでに,1999年勧告は,本誌34巻2号において訳出し紹介したところであり,今次の勧告とガイドラインは,本テーマにおける各国の取組みを検証する最新の基準であることから,その全文を訳出し掲載した(神山静香嘱託研究所員訳)。続いて,2016年における大韓民国および中華人民共和国の近況を伝える立法動向等を,順次,翻訳・紹介した。ひとつは,大韓民国電子商取引消費者保護法であり,2016年改正を踏まえた最新版である(李賢貞嘱託研究所員訳)。もう一つは,中華人民共和国で準備が進んでいる電子商取引法草案である(福原紀彦所員監訳)。この草案は,本年6月に上海で開催された国際シンポジウムで示され,各国から招聘された研究者と実務家の検討に付されたものであり,そのシンポジウムには,当研究会の代表も参加した。両者とも,包括的な新規立法を企図し,その機会に,従来の法制度整備の不備を補いつつ,新たなビジネスモデルをも視野に収めて,先進的な法体系を誕生させようとしている点で,大いに注目に値する。
 日本では,2016年上半期の時点で,「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」(平成28年改訂)が公表され,消費者三法のうち,消費者契約法と特定商取引法が改正され,割賦販売法も改正が準備されている。また,個別立法対応による間隙を埋めるために,規制横断的な法制度整備が求められている状況にある。本稿が,そうした,電子商取引の進展に伴う新たな消費者保護ルールの形成を推進する基礎作業の一環となれば幸いである。
キーワード

電子商取引・決済法研究会

電子商取引

消費者保護

OECD

大韓民国

中華人民共和国

全人代

文献等

掲載誌名・書名:

比較法雑誌, 第50巻, 第3号, pp.407-471

公開者・出版社:

日本比較法研究所

書誌コード類:

ISSN: 0010-4116

種類
紀要
言語
日本語
権利情報
この資料の著作権は、資料の著作者または学校法人中央大学に帰属します。著作権法が定める私的利用・引用を超える使用を希望される場合には、掲載誌発行部局へお問い合わせください。

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